菓子処 松月堂布川
山形県村山市 店舗ジャンル:和洋菓子店・パン屋村山市に店舗を構える、明治創業の菓子店。各時代に合った和洋菓子を提供してきた。山形県産りんごの味わいを堪能できるアップルパイは、百貨店の催事でも人気を集める。
時代に合わせたお菓子を届ける、菓子の老舗
村山市楯岡にある「松月堂布川」は、1889(明治22)年に創業した菓子の老舗。たばこや砂糖、駄菓子を取り扱う小売店としてスタートした。戦時中は存続が危ぶまれたが、戦後に4代目が和菓子店として再建。当時の看板商品だった「三平まんじゅう」や「三平撰(そば羊羹)」は、今なお愛され続けている。5代目からは、ショートケーキやシュークリームといった洋菓子の販売を開始。2023(令和5)年に6代目・布川寛人さんに継承されると、新たに「焼きチョコ」や「アップルパイ」などを開発し、それぞれの時代のニーズに即した商品を提供してきた。同店のモットーは、「安全で安心、そのうえ美味しいお菓子を作ること」。「お菓子の美味しさには、ある程度の甘さが必要不可欠です。だから、うちではあえて『甘さ控えてません』というコピーを掲げ、しっかりと甘さを感じるお菓子作りをしています」と、布川さんは語る。そんな同店のお菓子は、地元の道の駅や土産物店、イベントなどでも販売され、多くのファンの心を掴んでいる。
山形県産りんごを堪能する「アップルパイ」
布川さんが手掛ける商品の中でも、厚い支持を得るのがアップルパイ。首都圏の百貨店の催事で販売した際には、製造が間に合わず数時間待ちになることもあったという。「一度召し上がった方が『ぜひお友達にも』と再来店してくださることもあり、リピーターの多い商品です。ギフトとしてもご利用いただいています」と、布川さん。こだわりは、山形県産の紅玉りんごが持つ味わいを最大限活かすこと。フィリングには、シャキシャキとした食感が残るよう、大きめにカットしたりんごを使用。そこに、りんごの風味を引き立てる香ばしいアーモンド生地、手作業で丁寧に折り込んだパイ生地を合わせて焼き上げる。紅玉りんごならではの爽やかな甘酸っぱい味わいを活かすため、シナモンやカスタードクリームは使わない。シンプルなだけに、一つ一つの作業の積み重ねが美味しさを左右するという。布川さんは「粉もバターも冷蔵庫で管理して、一定の温度帯で加工できるようにする。できる限り新鮮な材料を、新鮮な状態で使う。当たり前のことを当たり前にやっているだけですが、それが一番大事なんだと思います」と、力強く語った。
生産者紹介

6代目布川寛人
村山市出身。高校卒業後、自衛隊でヘリコプター整備に携わる。「わずかな違和感に気づけるかどうかが、人の命に直結するため、誤差ひとつ許されない世界でした。細部から逃げない姿勢は、今のお菓子作りにもつながっています」と、布川さん。さらに、IBM関連会社で営業を経験し、「相手が本当に求めているものを見抜く力」を学ぶ。その後、家業に入ることを決めると、山形県内のフランス菓子店「ミッシェル」で修行を積んだ。「技術だけでなく、 材料を見る眼、熱や水分の変化を読む感覚、道具への向き合い方なども叩き込まれました」と、振り返る。そして、2023年に「松月堂布川」の6代目として代表に就任。「今後も、山形県の美味しい果物や野菜を使ったお菓子を作り、全国に発信していきたいです」と、笑顔を見せた。
店舗詳細
| 店舗名称 | 菓子処 松月堂布川 |
|---|---|
| 住所 | 山形県村山市楯岡十日町4-34 |














































