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130年以上続く山形市の菓子店。看板商品は豆の芯までふっくら炊き上げた郷土菓子「富貴豆」。しっとりとしたほくほく食感、上品な甘さは幅広い世代から人気を集めている。

老舗 長榮堂 山寺街道沿いに佇む老舗

明治創業の老舗菓子店

山形市は、かつて山形城があった城下町。商人町、宿場町として栄えた歴史のある地域だ。その名残から、現在も市内各地に多くの老舗が店を構えている。同市にある長榮堂は、1886(明治19)年創業の菓子店。羊羹・きんつば・最中といった定番の和菓子から、カステラやロールケーキなどの洋菓子まで、約100種類がショーケースに並ぶ。人気商品の一つが、一枚一枚手作りしている「板かりんとう」。一般的な細長いものとは違い、煎餅型をしているのが特徴だ。県産のべに花油と大豆油で香ばしく揚げ、沖縄県波照間産の黒砂糖で仕上げた上品な甘さが美味しい。そして、誕生から100年もの歴史を誇る看板商品が、富貴豆(ふうきまめ)。青えんどう豆をふっくらと炊き上げた山形の郷土菓子だ。ほくほく食感と上品な甘さが魅力で、ちょっとした手土産やお茶菓子として親しまれている。

「富貴豆」の名前の由来

山形の郷土菓子「富貴豆」は、青えんどう豆を「ふかして」「皮を取り」「砂糖と一緒に炊く」といったシンプルなもの。それだけに、ごまかしがきかない。職人の熟練の勘と技術が試されるお菓子だ。もともとは、明治後期に東京の煮豆が山形へ伝わり、和菓子に転じたものといわれている。長榮堂の5代目・長谷川浩一郎さんは「名前の由来は諸説あるんです。有力なのは、吹きこぼしながら炊いていく様子から『ふきまめ』と呼ばれるようになったという説ですね」と教えてくれた。吹きこぼれるほど強い火力で炊くことで、しっとり食感に仕上がるからだ。やがて、縁起が良い「富」「貴」があてられ、「富貴豆(ふうきまめ)」となったという。

富貴豆を堪能できる「バターどら」

長榮堂には、看板商品「富貴豆」をふんだんに使ったお菓子も多い。たとえば「バターどら」。富貴豆をペーストにした自家製餡を、バター風味が効いた生地で挟んでいる。山形の「蔵王地養卵」を生地に使用し、しっとりとした口当たりに仕上げているのがこだわり。青えんどう豆とバターが醸し出す絶妙なハーモニーが絶品である。また、富貴豆の餡をやわらかい皮生地で包んだ「富貴饅頭」、豆の風味を閉じ込めた味わい深い「ふうき羊羹」も好評を得ている。5代目の長谷川さんは、「伝統を守りつつも、時代に合わせた新しいお菓子の提案をしていきたいですね」と、語った。

  • 老舗 長榮堂
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生産者紹介

5代目:長谷川浩一郎
5代目長谷川浩一郎

山形市出身。東京の製菓専門学校でお菓子作りの基礎を学んだ。卒業後は、小田原市の蒲鉾店に就職。「その頃はすでに実家の菓子店を継ぐことを決めていました。ただし、会社経営やほかの業界についても勉強したかったので、蒲鉾店で修業を積むことにしたんです」と、振り返る。そして、地元へ戻り、44歳の時に長榮堂の5代目を継いだ。看板商品「富貴豆」の味を守りつつ、富貴豆を使用した商品開発にも力を入れている。「昔は富貴豆を作るお店がたくさんあったのですが、今では数軒になりました。寂しいですよね。伝統のお菓子を残せるよう、これからも精進してまいります」と、力を込めた。

店舗詳細

店舗名称 老舗 長榮堂
住所 山形県山形市印役町一丁目2-32