またのや
山形県鶴岡市 店舗ジャンル:食品製造・加工独自の食文化が息づく旧温海町・越沢地区に誕生した「またのや」。祖母の味を受け継ぐ「笹巻」の製造や、在来作物の栽培などに取り組み、先人の知恵を未来へつないでいる。
地域の食文化を守るためにスタート
鶴岡市の南東部に位置する、旧温海町の越沢地区。雄大な山々と日本海に囲まれた同地域では、伝統菓子「笹巻(ささまき)」など、厳しい自然と共生する独自の食文化が形成されてきた。高齢化により作り手が減少する中、先人の残した知恵を未来へつなぐため、2022(令和4)年に「またのや」は誕生した。きっかけは、代表の内川朋枝さんが県外に移り住んだこと。「地元を離れてみて、この地ならではの食文化の重要性に改めて気づいたんです」と、内川さんは語る。そこで、祖母から代々受け継がれてきた笹巻の味を、自身の会社のフード事業「またのや」として継承。妹や地元のお母さんたちとともに、笹巻の製造のほか、「焼畑あつみかぶ」「越沢三角そば」といった在来作物の栽培や商品開発にも取り組む。「『またのや』という名前は、地域内でも親しまれてきた『又五郎』という屋号から付けました。『また食べたい』『また会いたい』と思ってもらえたら嬉しいな、という想いも込めています」と、内川さんは笑顔を見せる。
灰汁が決め手。黄金色に輝く「笹巻」
笹巻は、1788(天明8)年の古文書にも記述が残る、鶴岡の伝統菓子。地域によってさまざまな特徴があり、越沢地区のものは握りこぶしのような形をしていることから、「こぶし巻」とも呼ばれている。笹巻作りに使用するのは、もち米と笹の葉、そして灰汁水(あくみず)だ。灰汁水とは、木灰を水で煮出し、上澄みだけを取り出したもの。薪を日常的に使う同地区の木灰が手に入りやすい環境を活かした、先人の知恵だ。これにもち米を一晩つけ、笹の葉で包んで2時間ほど煮上げると、黄金色に輝くプルンとしたゼリー状の笹巻が完成する。灰汁水は強アルカリ性のため、殺菌・防腐効果があり、化学反応によってもち米の色も変える。そして、味の決め手にもなる。灰汁の原料である木のブレンド具合によって、苦味が生じたり、まったく煮えなかったりするという。「職人の間でも『笹巻の良し悪しは灰汁しだい』と語り継がれるほど、灰汁水がすべてなんです」と、内川さん。長年の勘と試作の積み重ねで作った、良質な灰汁水だけが、木灰がほのかに香る味わい深い笹巻を生み出すのだ。鶴岡の笹巻は、2023(令和5)年に文化庁の「100年フード」に認定。2024(令和6)年には、製造技術が「国登録無形民俗文化財」に指定された。その誇りを胸に、またのやはこれからも本物の味を届け続ける。
生産者紹介
代表内川朋枝
鶴岡市出身。夫の転勤を機に、名古屋へ転居。2005(平成17)年に「株式会社フルドール」を設立する。「祖母の笹巻の味を守りたい」という想いから、2022(令和4)年に「またのや」をスタートした。現在は鶴岡と名古屋の2拠点で、それぞれの事業を運営している。イベントでは笹巻の食べ方として、定番の「黒蜜きな粉」だけでなく、「オレンジマーマレード」や「甘酒」といったトッピングを新たに提案。その挑戦心はとどまるところを知らない。「笹巻をより多くの人に知ってもらうことが目標です。伝統を守りながら、新たな挑戦も大切にしていきたいと思います」と、内川さんは力を込める。
店舗詳細
| 店舗名称 | またのや |
|---|---|
| 住所 | 山形県鶴岡市越沢乙188-1 |













































