山形直送計画からのお知らせ

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蔵王山がもたらす清らかな雪解け水を活かして、10品種以上のぶどうを生産する農家。作物本来の自然な育ち方を追い求め、減農薬・無肥料の栽培に取り組んでいる。

おらほぶんど 「おらほぶんど」は、山形弁で「私たちのぶどう」

果物栽培に適した環境で育まれる高品質なぶどう

山形県は果物王国と呼ばれるくらい、果物が美味しい地域として全国に名を馳せている。美味しさの理由は、自然環境が大きい。高い山々に囲まれ、夏と冬、昼と夜の気温差が大きいため、糖度がグッと上がるのだ。そんな果樹栽培に適した環境で、桃・さくらんぼ・梨などさまざまな果物が生産されている。蔵王山の麓に位置する上山市は、昔からぶどうを栽培する農家が多い。1954年から続く「おらほぶんど」もその一つ。10品種以上ある中、人気はパリッとした果皮とジューシーな果実が魅力のシャインマスカット。種無しで皮ごと食べられるため、子どもからお年寄りまで幅広い世代から好評だ。ぶどうの女王と称されるリザマートは、皮が非常に薄く栽培が難しいため、市場にめったに出ない希少品種である。食べごたえのある大粒で、サクサク食感とほど良い甘さが美味しい。定番のみならず、なかなかお目にかかれない珍しいぶどうの存在も、人気の秘密なのかもしれない。

肥料に頼る慣行栽培を疑問視

高品質なぶどうを追求する「おらほぶんど」は、ある驚きの方法を実践している。肥料を全く与えない栽培法だ。3代目の渡辺薫さんは「もともとは与えていたんです」と過去を振り返る。以前は、化学肥料と有機肥料を併用する、代々受け継がれてきたスタイルだった。2014年、渡辺さんが3代目を継いだ頃はとにかく施肥に注力していたという。肥料の量や質、施肥のタイミングなどを試行錯誤。しかし、「たくさん肥料を与えても、ただ甘いだけの果実にしか育たない。正直、美味しいとは思わなかった」と壁にぶつかったそうだ。そんな中、目の前の山を見てある疑問が湧き上がってきた。「なぜ山の木や花は、肥料がないのに立派に育っているのだろう。植物は本当に肥料が必要なのだろうか」。そこで、2015年、栽培法を一から見直すことを決意する。

自然界に反さない、無肥料栽培

今までの肥料に頼る栽培法を疑問視した渡辺さん。「いろいろ勉強した中で、一番大きな発見だったのはホルモンバランスの存在です」と語った。ぶどうには、大きく五つのホルモンが備わっている。中でも重要なのは、ジベレリンとエチレン。肥料を与えると、糖度を高めるジベレリンは増加するが、害虫から身を守る力を持つエチレンが減少する。渡辺さん曰く、ホルモンをいかに自然なバランスで保つかが美味しさを左右する、という。そこで行き着いたのが、むしろ何も与えない無肥料栽培だ。今まで散布していた化学肥料・有機肥料を一切控えた。唯一与えるのは、最低限の水だけ。その結果、甘みと酸味のバランスのみならず、色づき・香り・果肉の密度も向上。それに伴い、農薬の回数もみるみる減ったという。減農薬で育った果実は、体にやさしいという魅力もあるため、「おらほぶんどさんのぶどうは、安心して皮ごと食べられる」と好評だそうだ。

  • おらほぶんど
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生産者紹介

3代目:渡辺 薫
3代目渡辺 薫

上山市のぶどう農家に生まれる。農業大学を卒業後、JAに入組。果物や野菜の販売に携わる。そんな中、昨今の気候変動に嘆く農家を目の当たりにし、「今の農業のままでいいのだろうか」と自問自答する日々を過ごす。2014年、約10年間勤めたJAを退職。おらほぶんどの3代目を継ぐ。代々受け継がれてきた肥料に頼る栽培法を疑問視し、自然栽培全国普及会に入会。2015年から無肥料栽培に挑戦する。以来、「余計なものは極力持ち込まない」をモットーに、ぶどうと向き合う。「本当の作り手は生産者ではなく、果樹。私たちの仕事は、果樹が果実を育てやすい環境を整えてあげることだと思うんですよね」と真剣な眼差しで語った。

店舗詳細

店舗名称 おらほぶんど
住所 山形県上山市久保手3295