大泉やさい園
山形県寒河江市 店舗ジャンル:農家・農業法人化学肥料や農薬に頼らない方法で、一年を通じて野菜を栽培する寒河江市の農家。寒河江川の水をたっぷり与えて育てる里芋「子姫芋」は、ねっとりとろける食感が評判だ。

「自分の手で作る大切さ」を実感して新規就農
大泉やさい園は、山形県の中央に位置する寒河江市の農家。出羽三山の一つである月山や朝日連峰に囲まれた自然豊かな環境で、四季折々の野菜を栽培する。代表の大泉早紀さんが就農したのは、とある経験がきっかけだった。「病院の管理栄養士として働いていた頃から、食事の重要性を感じていました。震災が起きて流通が滞ったときに、食材がなければ食事も作れないと実感したんです」と、大泉さんは語る。その後、コロナ禍に人生を見つめ直し、「自分の手で野菜を作りたい」と、一念発起。農業経営を学ぶため専門職大学に通いながら、有機栽培農家のもとで研修を受け、新規就農に至った。大泉さんが取り組むのは、化学肥料や農薬に頼らない栽培。土作りには、近隣施設などで出た馬糞やおがくずを有効活用した有機質肥料を使用する。「農業について学ぶ中で、作る人も食べる人も安心できて、地球にも負荷をかけない野菜作りをしたいと思ったんです。地元で取り組んでいる人はほとんどいないので、これから広めていきたいです」と、力を込める。
たっぷりの水で育てた、ねっとり食感が魅力の「子姫芋」
春はレタス、夏は茄子やトマト、冬は根菜など、少量多品目栽培を行う大泉やさい園。中でも特に力を入れるのが、江戸時代から栽培される寒河江市の伝統野菜「子姫芋」だ。代々継承されてきた種芋を叔母から受け継ぎ、栽培している。独特のねっとりとろけるような食感を生む秘密は、水分をたっぷりと与えて育てること。大泉さんは「子姫芋をはじめとする里芋は乾燥を嫌うので、元々田んぼとして使われていた、水持ちの良い土地を活用しています。そこに、長靴じゃないと歩けないくらいの大量の水を入れるのがポイントです」と、教えてくれた。使用するのは、市内を流れる一級河川・寒河江川の水。大朝日岳の雪解け水が流れ込む清流が、品質の高い子姫芋を育てるのだ。「煮る・蒸す・揚げる、何でも美味しいですが、やっぱり一番は芋煮ですね。地元を離れて住んでいる方はもちろん、県外の方にも一度は食べてほしいです」と、大泉さんは微笑んだ。
生産者紹介

代表大泉早紀
寒河江市出身。宮城学院女子大学で食品栄養学を学び、病院の管理栄養士として14年間勤務する。震災で物流が滞った経験から「食材を自らの手で作れるようになりたい」と、農家を志す。東北農林専門職大学に通いながら有機栽培農家で研修を受け、2025年に新規就農した。化学肥料や農薬に頼らない栽培は、害虫対策や収量の少なさなど、苦労が絶えない。それでも「安心して食べられる野菜を届けたい」という想いが、大泉さんを後押しする。「人にあげて美味しいと言ってもらえたときや、自分で美味しいものを作れたなと思えたときは、やっぱり嬉しいですね」と、笑顔を見せた。
店舗詳細
店舗名称 | 大泉やさい園 |
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住所 | 山形県寒河江市大字柴橋1705-5 |